バイオジェニックスとは


会社の名前に使われている「バイオジェニックス」という言葉について、ご説明致します。

これは、ヨーグルトなどで使われる「プロバイオティクス」という言葉に対して生まれた言葉で、

腸内細菌学の世界的権威である東大名誉教授の光岡知足博士が、

1996年に第5回腸内フローラシンポジウム「腸内フローラとプロバイオティクス」誌で発表した概念です。

 

同じように乳酸菌を扱っていても、一方はプロバイオティクス、他方はバイオジェニックス。

この二つの言葉、いったい何が違うのでしょうか?

プロバイオティクス


乳酸菌がヒトの健康に良い事は昔から知られていましたが、そのメカニズムとしては、生きた乳酸菌がヒトの腸管に定着し、

そこで活動する事によって腸内環境が良くなり、その結果ヒトの健康増進に結びつく、と考えられておりました。

従いまして、当初は生きて腸管内に届き、そこに定着して活動する結果、健康改善に役立つ菌としてプロバイオティクスは定義されました。

 

ところがその後、食物として摂取される乳酸菌の殆どが腸管に届くまでに死滅してしまうだけでなく、

腸管に長期に定着する事もないという事実が分かって来ました。

同時に、熱などで死滅させた乳酸菌の菌体や、乳酸菌の培養液の上澄み液などにも、ヒトの健康を促進する効果がある事が分かって来ました。

 

その結果、プロバイオティクスの言葉の定義も変化し、今では、

「生死に関係無く、健康改善に役立つ菌」は全てプロバイオティクスに含められる事になってしまいました。

プレバイオティクス


ビフィズス菌の項でお話したように、ビフィズス菌は胃酸に弱いので、善玉菌としてビフィズス菌に腸管内で働いてもらうには、

元々その人の腸管に住み着いているビフィズス菌を増やすという戦略が有効だと思います。

ビフィズス菌もヒトと同じようにブドウ糖を利用しますが、

ヒトが利用できる栄養素はビフィズス菌が住んでいる大腸に届くまでにヒトが吸収してしまいますので、これではビフィズス菌の餌にはなりません。

セルロースやリグニンといった非消化性の食物繊維はビフィズス菌も利用できないので、これも不適格です。

一方で、糖分子が数個集まった形態を持つオリゴ糖や、芋や豆に含まれる難消化性デンプン、リンゴなどに含まれる水溶性食物繊維などは、

ヒトの消化酵素ではなかなか分解されず、大部分がそのまま大腸に到達します。

ビフィズス菌はこれらの物質をエネルギー源として利用し、活発に増殖~代謝活動を行う事ができますので、

オリゴ糖や難消化性デンプン、水溶性食物繊維などを腸内環境改善のために積極的に摂取する事は大変効果的です。

 

オリゴ糖に代表されるような、

ヒトは直接利用できないがビフィズス菌などの腸内善玉菌には有効に利用され、その結果腸内環境改善効果が期待できる物質を、

プレバイオティクスと呼びます。

バイオジェニックス


プロバイオティクスの本来の定義は「生きた菌が腸内環境を改善する結果、ヒトの健康に貢献する」ものでした。

その後、「腸内環境に影響を与えなくても、ヒトの健康に貢献する生きた菌」という定義に変わりました。

さらにその後、「死んだ菌であっても体に良い影響を及ぼすのであれば、これをプロバイオティクスと呼んでも構わない」事となりました。

しかしながら、これでは定義として余りにもルーズです。

従いまして、ここでは少なくとも「生きた菌」で無くてはプロバイオティクスとは呼ばない、と定義します。

 

プロバイオティクスに対して、プレバイオティクスは「腸内の善玉菌に働きかけ、その結果ヒトの健康に貢献する物質」の事です。

従いまして、腸内環境の改善に効果があるかどうかに関わらず、直接的にヒトの健康に貢献するタイプの物質は、

プロバイオティクスにもプレバイオティクスにも含まれる事はありません。

 

以上から、

乳酸菌が培養液中に作り出す物質や、あるいは乳酸菌菌体そのもの、さらには乳酸菌菌体から漏れ出た物質などに対しては、

プロバイオティクスもプレバイオティクスも当てはまりません。

これらの物質が腸内環境の改善に役立っている証拠は数多く報告されていますが、

それよりもむしろ直接吸収されたり、あるいは腸管免疫系を刺激する結果、ヒトの健康に貢献している可能性がより多く指摘されています。

 

光岡知足博士が定義したバイオジェニックスという言葉は、正しくは

「腸内フローラを介する事なく、直接、免疫賦活、コレステロール低下作用、血圧降下作用、整腸作用、抗腫瘍効果、抗血栓、

造血作用などの生体調節・生体防御・疾病予防・回復・老化制御などに働く食品成分」と定義されます。

この定義から分かるように、非常に幅の広い概念です。

食由来の機能性物質全てを包含する概念といえます。

乳酸菌の死菌体や乳酸菌の培養液をそのまま丸ごと摂取する場合はプロバイオティクスやプレバイオティクスの概念に含める事はできませんので、

これらはバイオジェニックスという幅の広い概念で語られなくてはなりません。

 

喜源バイオジェニックス研究所で作られる大豆麹乳酸菌発酵液は、

プロバイオティクスやプレバイオティクスの定義に収まらない、バイオジェニックスを代表する食品基材です。

参考文献

 

  ●腸内フローラとプロバイオティクス 光岡知足編 1998 学会出版センター

  ●プロバイオティクスとバイオジェニクス 伊藤喜久治編 2005 NTS